大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)1534号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人牧野芳夫の上告趣意は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(上告趣意第一点と同旨の控訴趣意に対する原判決の判断は正当であって、自白の真実性を補強する証拠のないことを前提とする違憲論は採用できない。同第二点については、第一審判決の判示第二において被告人が昭和二七年二月二二日所持していたと認められた覚せい剤一八六〇本が、同判示第一の(一)、(二)において被告人が同年二月七日頃から同年五月二二日頃までの間製造したと認められた覚せい剤二五〇〇〇本の一部であっても、それが右製造に伴う必然的結果として一時的に所持せられるに過ぎないものと認められない限り、その所持は製造罪に包括、吸収せられるものと認むべきではないから、製造罪の外に所持罪の成立を認めた原判決は結局正当であって、論旨は採用できない。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例